広島高等裁判所 昭和28年(う)148号 判決
記録によれば被告人が判示の如く繩稚坂一、米山卓蔵、佐藤寔明に供与した三盆白砂糖二斤入合計三箱は、いずれもその返還をうけそのうち一箱を自ら費消し、他の二箱が押収されてゐること(当審においてこれを売却しその代価を保管)原審がこの二箱について刑法第十九条を適用してこれを沒収し、被告人が費消した一箱についてはその価格を追徴していないことは検事所論のとおりである。
しかし公職選挙法第二二四条は同法二二一条乃至第二二三条の二に定める利益収受者からその収受し又は交付を受けた利益を沒収若しくは追徴すべきことを定めたものであつて、利益供与者から沒収若しくは追徴すべきことを定めたものではない。而して本件被告人は利益を供与した者であつて利益収受者でないから被告人より所論の砂糖若しくはその価額を公職選挙法第二二四条によつて沒収若しくは追徴することが出来ないことは明らかである。而も押収に係る三盆白砂糖二箱は判示第一、第三、第四のいづれかの犯罪行為を組成したものであり且犯人以外の者に属しないことも記録上明らかであるから刑法第十九条に従つてこれを沒収することができるものといわねばならない。